デジタル田園都市国家構想総合戦略とは?地方のデジタル化を束ねる国の設計図をやさしく解説

地方のデジタル化が国全体でどう進められているのかを知りたいなら、入口になるのがデジタル田園都市国家構想総合戦略です。各府省庁の施策を一本の枠組みに束ね、数値目標と工程表をひも付けたところに特徴があります。公共セクターの仕事に関わるなら、個々の補助金より先に押さえたい全体像です。

目次

要点

  • 「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を掲げ、これまでの地方創生の取組をデジタルの力で加速させる枠組みです。
  • 施策ごとに2023年度から2027年度までの5か年のKPIとロードマップ(工程表)が置かれています。
  • 国がモデルとなる地域ビジョンを示し、地方は「地方版総合戦略」を策定する、という役割分担になっています。

なぜ地方創生に「デジタル」が付いたのか

出発点は、人口減少社会を迎え、地方の過疎化や地域産業の衰退が大きな課題になっている現実です。そこに、テレワークの普及や若年層の地方移住への関心の高まりという変化が重なりました。人が動きうる状況が生まれた今なら、デジタルで地方の暮らしの不便を埋められる、という読みが土台にあります。

方向性としては、東京圏への過度な一極集中を是正して多極化を図り、地方の社会課題の解決そのものを成長の原動力に変えることが狙いです。進め方も国から下ろす形ではなく、地方の取組を全国へボトムアップでつなげることが想定されています。

5か年のKPIと工程表が置かれている

この総合戦略が理念集と違うのは、各府省庁の施策を充実、強化したうえで、施策ごとに2023年度から2027年度までの5か年のKPI(重要業績評価指標)と工程表を割り当てている点です。たとえば国全体のKPIとして、デジタル実装に取り組む地方公共団体を2024年度までに1,000団体とする目標が示されています。数と期限があるため、取組は「やったかどうか」ではなく「どこまで届いたか」で見られます。

土台づくりは「デジタル実装の基礎条件整備」として、大きく3つの柱で整理されています。

  • デジタル基盤整備
    通信網の土台を整える取組で、光ファイバーの世帯カバー率を2027年度に99.9%とする目標が置かれています。
  • デジタル人材の育成、確保
    技術を入れても使いこなす人がいなければ回らないため、人材自体を柱の1つに据えています。
  • 誰一人取り残されないための取組
    デジタルに不慣れな人が置き去りにならない視点で、利便性の向上と並べて位置づけられています。

国はモデルを示し、地方が自分の絵を描く

国が示すのは、あくまで地域ビジョンのモデルです。スマートシティ・スーパーシティ、SDGs未来都市、「デジ活」中山間地域、産学官協創都市、脱炭素先行地域といった型が例として挙がっており、地方はそこから自分の地域の個性や魅力に合う絵を描いて実行に移します。ひな型を写すのではなく、選んで組み替える前提の設計です。

重要施策分野として挙がっているテーマも具体的です。地域交通では、MaaS等のデジタル技術を活用して持続可能で利便性の高い地域公共交通ネットワークを再構築するとされ、医療では住民に身近な場所を活用したオンライン診療や服薬指導を進めるとされています。暮らしの不便が出やすい領域から手を入れる構えだと読めます。

成果をデータで確かめる仕組み

もう1つが、RAIDA(レイダ)というデータ分析評価プラットフォームです。データで地域課題を捉え、分析や考察を支えて施策目標の達成を後押しする仕組みで、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局及び内閣府地方創生推進室が提供しています。目標を数字で置いた以上、現状も数字で見るという姿勢が表れています。

公共セクターのコンサルティングに関わる人には、この構造が仕事の輪郭そのものです。地域の課題をデータで把握し、合う型の地域ビジョンを考え、KPIに照らして進み具合を説明できる形に落とす。求められるのは技術の目新しさではなく、政策の枠組みと地域の実情を突き合わせる力です。

よくある質問

デジタル田園都市国家構想と総合戦略はどう違うのですか

構想は目指す社会の姿を示すもので、総合戦略はそれを実現するために各府省庁の施策を束ね、KPIと工程表を付けた実行計画にあたります。理念と段取りの関係だと考えると分かりやすいです。

地方自治体は何をすることになりますか

自分の地域の課題を踏まえた地域ビジョンを掲げ、「地方版総合戦略」をつくることが基本です。あわせて、似た課題を抱える複数の自治体が連携して取り組む進め方も示されています。

まとめ

デジタル田園都市国家構想総合戦略は、地方創生という長く続くテーマに、期限と数値目標とデータ検証の仕組みを足したものです。個別の事業名を追う前に、自分の関わる案件がこの枠組みのどこに位置するかを見ておくと、提案も評価も話しやすくなります。

出典:内閣官房「デジタル田園都市国家構想総合戦略」

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