「EBPM」とは?根拠に基づく政策立案の基本を内閣官房のガイドブックでやさしく解説

EBPM は「Evidence-Based Policy Making」の略で、根拠に基づく政策立案と訳されます。内閣官房行政改革・効率化推進事務局は、EBPM を初めて学ぶ職員にも分かる入門編のガイドブックを公表しています。強調されているのは高度な統計分析ではなく、課題と目的、効果の筋道を言葉にする作業です。

目次

要点

  • EBPM は根拠に基づく政策立案を意味し、政府全体で推進されている考え方です。
  • 実践の土台は行政事業レビューのシートで、2023 年度に様式へ EBPM の基本事項が盛り込まれました。
  • エビデンスは数字だけではなく、現場の声のような定性的な情報も含みます。

EBPM とは何か

政府は「経済財政運営と改革の基本方針」などの閣議決定を踏まえ、政府全体として EBPM を推進しています。ガイドブックは避けるべき姿を 3KOD と表現し、勘、経験、空気、思い込み、度胸に頼った個人プレーの政策立案に陥らないよう、組織としてデータを集め、関係者と意見交換をして現状をつかむことを求めています。

背景にあるのは環境の変化です。行政が対応すべき課題は複雑になり多様になっており、迅速な対応が求められています。無駄の排除や効率性の向上に重点が置かれてきた従来の行政改革だけでは足りない、という問題意識です。

実践の舞台は行政事業レビュー

EBPM は理念だけではなく、既にある仕組みの上で回されています。2013 年 4 月の閣議決定に基づき、原則すべての予算事業で行政事業レビューが実施されており、2023 年度からはそのシートの様式に EBPM の基本事項が盛り込まれました。基礎的な EBPM とは、課題と政策目的を明確にし、効果発現経路を論理的に整理し、必要なデータや指標をあらかじめ検討しておくことです。

ロジックモデルという共通言語

EBPM の中心にあるのがロジックモデルです。効果発現経路を論理立てて整理し、端的に図示したものを指し、インプットとアクティビティを経て、その効果としてアウトプット、アウトカム、インパクトが発現するという流れで構成されます。

  • インプットとアクティビティ
    予算、人員、計画といった政策を実現するための資源と、それを活用して行う具体的な活動です。
  • アウトプット
    活動の直接の結果で、誰に何をどれだけ実施したかを指します。
  • アウトカム
    成果であり、国民や事業者などに現れた結果や影響です。実施者が自らコントロールできるものではありません。
  • インパクト
    あるべき姿、目指すべき姿であり、社会全般への影響を指します。政策目標となり得るものです。

エビデンスは数字だけではない

エビデンスとは、政策と政策効果との間の因果関係の裏付けとなるものです。ガイドブックはエビデンスは定量的なデータのみではないと述べ、定性的な情報でも政策の必要性や有効性を確認できるならエビデンスと呼べるとしています。

政策の実施状況とその効果は、データと現場の声の両方で測るものだとされています。データだけでは想定していなかった小さな異変を見落とし、現場の声だけでは一部の大きな声に過剰に影響される可能性があるためです。

相関と因果を混同しない

最もつまずきやすいのが相関と因果の区別です。X が大きいとき Y も大きいという関係が見えても、X が原因で Y が結果だとは分かりません。実際には Y が X を引き起こしていた、あるいは第三の要素が X と Y の両方に影響を与えただけで、両者の間に原因と結果の関係はない可能性が残ります。

ガイドブックは、効果検証をランダム化比較試験で行っておけばよいと考えることは安易だとし、都合の良い情報だけで有効性を示すことも避けるよう注意しています。

公共セクターで働く人への示唆

政府は EBPM 人材の育成を推進しており、シートの質の向上を目指して AI 機能の導入も検討されています。課題を構造化して言語化する力、必要なデータを事前に設計する力は、行政の内側でも外側でも価値を持ちます。

よくある質問

EBPM には統計の専門知識が必要ですか

基礎的な EBPM は難しい手法や高度な統計分析を求めるものではないと明記されています。目的や手段、期待される効果、それをどう確認するかを順序立てて整理することが出発点です。

ロジックモデルは何のために作るのですか

効果発現経路は政策手段から政策目的の達成に至るまでの論理的なつながりであり、当初はあくまで仮説です。図にしておくことで、実施後に想定とのズレを見つけ、どこを直すべきか判断できます。

まとめ

EBPM は統計の専門家だけのものではありません。課題と目的をはっきりさせ、効果が出るまでの筋道を言葉にし、データと現場の声の両方で確かめて直していく作業の積み重ねです。公共政策に関わる仕事を考えるうえで、まず押さえておきたい共通言語です。

出典:内閣官房行政改革・効率化推進事務局「EBPM ガイドブック」(第2回EBPM推進委員会 参考資料)

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