「戦略17分野」とは?日本成長戦略の官民投資ロードマップをやさしく解説

政府が日本成長戦略で掲げた17の戦略分野について、分野ごとに優先して投資を支援する「主要な製品・技術等」を絞り込み、官民投資ロードマップを策定する方針が示されました。選び方の軸は、経済安全保障などのリスク低減、海外市場の獲得可能性、技術の革新性の3点です。官公需つまり国や自治体の調達を、最初の需要をつくる手段として位置づけている点も見逃せません。

目次

要点

  • 17の戦略分野ごとに優先して支援する製品、技術を選び、官民投資ロードマップをつくる段取りが示されました。
  • 選定の軸は、経済安全保障などのリスク低減、海外市場の獲得可能性、技術の革新性の3つです。
  • 官公需や公共工事という公共調達が、初期需要をつくる手立てとして書き込まれています。

「17の戦略分野」とはどういうものか

この資料は「戦略17分野における『主要な製品・技術等』」と題され、どの製品や技術を優先的に後押しするのかを分野ごとに一覧にしたものです。今夏に策定された日本成長戦略を改訂していく中で追加を随時行っていくこと、今後の議論を踏まえて追加もあり得ることが明記されており、議論しながら埋めていく台帳に近い位置づけです。

  • デジタルと先端技術
    AI・半導体、デジタル・サイバーセキュリティ、情報通信、量子の4分野です。AIの普及でデータを扱う基盤の重要性が増しているという見立てが共通の前提です。
  • 安全保障と輸送のインフラ
    防衛産業、航空・宇宙、海洋、造船、港湾ロジスティクスの5分野です。重要な部品を国外に頼り、国際競争の中で建造能力が減っている現状が課題とされ、自分たちで賄える状態、つまり自律性の確保が急務だとされています。
  • 素材、医療、エネルギー
    マテリアル(重要鉱物・部素材)、合成生物学・バイオ、創薬・先端医療、資源・エネルギー安全保障・GX、フュージョンエネルギーの5分野です。永久磁石のように、製造技術では優位でも原材料が特定の国に大きく依存する例が並びます。
  • 暮らしと国土
    フードテック、防災・国土強靭化、コンテンツの3分野です。災害の多い国で蓄積したデータ、ノウハウを海外市場の獲得につなげる発想も並びます。

選び方の軸は3つに整理されている

資料は、国内の経済安全保障などのリスクを下げる必要性、海外市場を獲得できる可能性、関係する技術の革新性という観点から、官民の投資を優先して支援すべき製品、技術を選び、官民投資ロードマップを策定するとしています。国内で自前で賄う話と外で稼ぐ話を切り離さず、守りと攻めを同じ物差しに乗せたのが特徴です。

たとえば先行して検討が始まったフィジカルAIでは、AIをロボットに実装する多用途ロボットを中心に市場が広がり、2040年に約60兆円になると見込まれる一方、構造的な人手不足の解消で供給の詰まりを和らげる効果も期待されています。

公共セクターが「最初の買い手」として組み込まれている

押さえたいのは、「セキュリティの確保された政府・地方公共団体のDX基盤」が選ばれている点です。クラウドやAIの基盤、基幹情報システム、認証基盤といった行政の土台は行政運営や国民生活に欠かせないとされ、公共分野が率先して導入することが民間の技術力を伸ばす機会をつくり、官民のデジタル化を進める起爆剤になると書かれています。

同じ考え方は他の分野にもあります。次世代型太陽電池では国内で官公需を活用して初期需要をつくるとされ、グリーン鉄では公共工事を含めた需要創出で市場環境を整えるとされています。誰が最初に買うのかまで設計に入っているのが読みどころです。

行政の現場そのものが対象になる分野もある

防災、国土強靭化は、国民の生命や財産、暮らしを守り、強い経済を下支えする重要な危機管理投資だと位置づけられ、第1次国土強靱化実施中期計画を推進しながら取組を加速させるとされています。

港湾ロジスティクスでは、自動化や遠隔操作化で労働環境の改善と生産性の向上につながる港湾荷役機械が、国際競争力の維持、強化に重要だとされています。

よくある質問

17分野の製品、技術はこれで確定なのですか

確定ではありません。今後の議論を踏まえて追加もあり得ること、日本成長戦略の改訂の中で追加を随時行っていくことが明記されています。

「官民投資ロードマップ」とは何ですか

官民が投資を進める道筋を描いた工程表です。優先的に支援する必要があると考えられる主要な製品、技術を選び、それについて策定する組み立てです。

まとめ

17分野と主要な製品、技術の整理は、産業政策の優先順位を一枚で見せる地図です。公共調達が最初の需要をつくる手段として組み込まれている以上、行政側の判断や実務が産業の立ち上がりを左右します。制度をつくる側と現場をつなぐ仕事が増えていく領域です。

出典:戦略17分野における「主要な製品・技術等」(内閣官房)

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