スマートシティとは?国のガイドブックが示す3つの基本理念と5つの基本原則をやさしく解説

スマートシティは、最新技術を並べた未来都市のことではありません。国のガイドブックは、都市や地域が抱える課題を解決して新たな価値を生み出し続ける持続可能な都市、地域と定義します。しかも「いかに小規模なものであったとしてもスマートシティである」と明記されています。

目次

要点

  • 基本理念は「課題を解決し、ビジョンを実現するために新技術を活用する」という順序です。
  • 土台は、分野をまたいでサービスの導入を容易にするITシステムの総称「都市OS」です。
  • 壁は技術よりも、資金の持続性と、公民をまとめる推進体制や人材の確保にあります。

国が示すスマートシティの定義

内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省のスマートシティ官民連携プラットフォーム事務局がまとめた「スマートシティガイドブック」(2023年8月 ver.2.00) は、定義を4要素で示します。3つの基本理念と5つの基本原則に基づき、ICT等の新技術や官民のデータで市民一人一人に寄り添ったサービスを提供し、課題を解決して新たな価値を創出し続ける、Society 5.0の先行的な実現の場である持続可能な都市、地域、の4つです。大都市の都心部から里山里海を持つ地域まで「全国全ての地方公共団体において取組可能な政策」とも明記されています。

土台になる3つの基本理念

  • 市民 (利用者) 中心主義
    Well-Beingの向上を最大の狙いと認識し、供給側ではなく最大の利用者である市民が主体となるデマンドサイド主導で進めます。
  • ビジョン・課題フォーカス
    地域が持つリアルなニーズに応えるサービスを目指し、技術を先に決めません。
  • 分野間・都市間連携の重視
    分野を越えてデータを使い複合的な課題に対応し、導入コスト削減のため複数の自治体で連携します。

基本原則は5つです。公平性、包摂性の確保、プライバシーの確保、相互運用性・オープン性・透明性の確保、セキュリティ・レジリエンシーの確保、運営面、資金面での持続可能性の確保。最後の原則は、サービス提供のコストを負担できる自立した財源の用意まで求めます。

サービスをつなぐ「都市OS」

都市OSは、地域が共通的に活用する機能が集約されたITシステムの総称で、「つながる」相互運用、「ながれる」データ流通、「機能を広げられる」拡張容易性の3つが特徴です。呼び名は比喩で、OSというよりも「様々な都市のデータやサービスを繋ぐネットワークのノード (結節点)」と捉えるほうが正確だと補足されています。

2つの類型と5つの段階

典型的な類型は2つで、自治体が主導する行政主導型と、地域まちづくり団体が特定の地区を担うエリアマネジメント型です。進め方は、初動段階、準備段階、計画 (戦略) 作成段階、実証・実装段階、定着・発展段階の5段階に整理されます。

なぜ「実現した都市」がまだ少ないのか

ガイドブック自身が現状を率直に書きます。「実現した」と言える都市、地域は少なく、取組の多くが個別の分野や都市の枠内での実証段階に留まり、分野や地域を越えた運営、実装に至る地域は多くない。ただし先行事例は着実に積み上がってきている、という評価です。

もう一つの壁が資金です。利用料で民間資金を中心に自立するエコ・システムは未成熟だと認めており、プロジェクトがもたらす直接的または間接的な受益に応じて費用を適切に分担することが第一歩になるとしています。

公共セクターの人材にとっての意味

推進主体には利害の異なる公民の主体が集まります。ガイドブックは、調整を行いながらプロジェクトを牽引する中立的な立場の組織や人材の確保が有効だと述べ、外部人材をアドバイザーとして活用する際は主体的に動ける環境を整える必要があるとしています。

担当者に求められる力はデジタルの知見と官民の調整能力等で、評価面では効果を示すアウトカム指標と活動量を示すアウトプット指標の両方を検討することが望ましいとされます。指標に落とす仕事は、コンサルティングの中核的な技能です。

よくある質問

スマートシティと自治体のDXは同じものですか

射程が違います。自治体DXが行政内部の業務や手続のデジタル化を主に指すのに対し、ガイドブックは交通や医療、エネルギー、行政といったあらゆる都市機能自体をデジタル化に対応した形へ大きく転換することを求めています。

何から始めればよいのでしょうか

初動段階で挙げられているのは、問題意識と目的意識の明確化と、自治体側の取組体制の強化です。まずできることから手がけるアプローチももちろん有効だと添えられています。

まとめ

スマートシティを理解する鍵は、技術の話として読まないことです。課題とビジョンを先に置き、データをつなぐ土台を用意し、資金と体制と人材を続けられる形にする。この3点が国のガイドブックの骨格であり、公共セクターのコンサルタントが手を入れる領域です。

出典:内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省 スマートシティ官民連携プラットフォーム事務局「スマートシティガイドブック」(2023年8月 ver.2.00)

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