TCFDとTNFDとは? 環境省の実践ガイドで読み解く、気候と自然の情報開示と経営戦略

環境省は2025年3月付で、企業が気候変動や自然への影響を分析し、経営に織り込むための実践ガイド「サステナビリティ(気候・自然関連)情報開示を活用した経営戦略立案のススメ」ver2.0をまとめています。柱は、TCFDで企業が特に対応に悩むとされる「シナリオ分析」の進め方と、並行して対応が求められてくるTNFDへの備えです。ガイドは、分析結果を戦略に織り込み、実行につなげることが重要だとしています。

目次

要点

  • TCFDは気候、TNFDは自然をテーマにした財務情報開示の枠組みで、TNFDはTCFDと同じ4つの柱を採用しています。
  • 日本では有価証券報告書にサステナビリティ情報の記載欄が新設され、SSBJの基準に基づく開示の義務化も検討されています。
  • シナリオ分析はTCFD提言が定める6つのステップで整理され、分析結果を戦略と実行に織り込む方法も解説されています。

TCFDとTNFDの基本

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)は、G20の要請を受けて金融安定理事会が設立し、2017年に最終提言を公開しました。提言はガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4つの要素からなり、「戦略」の項目でシナリオ分析の実施が推奨されています。

シナリオ分析とは、将来の筋書き(シナリオ)に沿って、気候変動が自社の財務状況に与える影響を分析することです。

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は2021年に設立され、2023年に最終提言を公開しました。TCFDの構成やアプローチに従って作られ、4つの柱はTCFDと同じで、開示提言は14項目です。自然への「依存」と「インパクト」(影響)も、リスクや機会とあわせて評価と分析の対象になります。

シナリオ分析の6つのステップ

ガイドは、TCFD提言が定める6つのステップに「戦略、実行への織り込み」を加えて解説しています。

  1. ガバナンス整備
    シナリオ分析を戦略策定やリスク管理のプロセスに組み込みます。
  2. リスク重要度の評価
    組織が直面する気候変動のリスクと機会を洗い出します。
  3. シナリオ群の定義
    適切なシナリオを選び、入力変数や仮定、分析手法を検討します。
  4. 事業インパクト評価
    各シナリオが戦略や財務に与えうる影響を評価します。特に財務的影響の把握が重要とされます。
  5. 対応策の定義
    リスクと機会に対応する現実的な選択肢を特定します。
  6. 文書化と情報開示
    プロセスを文書化し、分析手法や結果を開示する準備を整えます。

財務的影響の把握は、リスクの重要度が大きい項目から段階的に取り組むことが実践のポイントとされ、分析自体も継続的に実施していく必要があるとされています。

ガイドは、分析を経営層と事業部門が連携した全社的な活動へと広げ、「気候変動に強い」会社に向けた変革サイクルを確立することで、将来の企業価値の向上と社会課題の解決をつなげられるとしています。

日本の開示ルールの動き

金融庁は2023年1月末に内閣府令等を改正し、有価証券報告書にTCFD提言の内容に沿ったサステナビリティ情報の記載欄を新設しました。ガイドの記載では、国内の開示基準を開発するサステナビリティ基準委員会(SSBJ)の基準に基づく開示の義務化も検討されており、金融庁の構想では2027年3月期以降、東証プライム上場企業を対象に、時価総額の大きさに応じて段階的に導入する予定とされています。

国の支援事業と企業の実務がつながる領域

ガイドには、令和6年度の「ネイチャー開示実践事業」(自然関連の情報開示を支援する環境省のモデル事業)の成果が盛り込まれ、目次によると別添で株式会社竹中工務店とKDDI株式会社のTNFDシナリオ分析、TOPPANホールディングス株式会社の目標設定が紹介されています。

気候と自然の情報開示は、国の制度づくりと企業の経営実務の両方にまたがるテーマです。公共セクターの政策と民間企業をつなぐ仕事に関心がある方は、ガイドの目次から主な論点をつかめます。

よくある質問

TCFDとTNFDの違いは何ですか?

TCFDは気候変動、TNFDは自然をテーマにした財務情報開示の枠組みです。4つの柱は共通で、TNFDの14の開示提言は、TCFDから引き継がれた11項目と新たに追加された3項目からなります。

初めてシナリオ分析に取り組む企業はどう進めればよいですか?

ガイドは、初めての企業は実践のポイントを意識しながら着実に実施し、継続的に取り組む企業は開示や投資家との対話を踏まえて分析やエビデンスの提示を充実させる、という段階的な方向性を示しています。

まとめ

環境省の実践ガイドは、TCFDのシナリオ分析とTNFDへの備えを、経営戦略に活かす視点でまとめた資料です。詳しい手順や事例は一次情報をご覧ください。

出典:環境省「サステナビリティ(気候・自然関連)情報開示を活用した経営戦略立案のススメ」

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